坂本 浩がこの店を開いたのは2018年の春、長崎市の中心部から少し外れた坂道の途中でした。それ以前は福岡市内のスペシャルティコーヒーの店で8年間働き、豆の選定から接客まで一通りを経験しました。独立を考え始めたのは2016年ごろで、最初は福岡での開業を想定していましたが、長崎の路地を歩いたときに感じた「ここに光が差し込む場所を作りたい」という感覚が決め手になりました。物件を探すのに1年半かかり、今の場所に出会ったのは偶然でした。
店名の「Golden Glacier」は、ゆっくりと、しかし確実に動くものへの敬意から来ています。氷河は急がない。でも、確かに前に進む。コーヒーも同じだと思っています。豆を選び、焙煎を待ち、挽いて、湯を注ぐ。その一連の時間を短縮しようとすると、何かが失われます。開店当初は「もっとメニューを増やしたほうがいい」と言われることもありましたが、今もドリンクは6種類、フードは2種類前後に絞っています。選択肢が少ないほうが、一つひとつに集中できると感じているからです。
坂本 浩は長崎県出身。福岡市内のスペシャルティコーヒー専門店で8年間勤務したのち、2018年に長崎市へ戻り、Golden Glacierを一人で開業した。豆の選定から焙煎所との調整、抽出、接客、スコーンの仕込みまで、すべてを自分の手で行う。休日は長崎の港周辺を歩くことが多く、「坂と海と光の組み合わせが、この街の特別なところだ」と話す。コーヒーに対する姿勢は一貫して「急がない」こと。施術歴ならぬ焙煎・抽出歴は通算14年になる。